自転車に乗った子どもが歩行者と衝突したり、お店に突っ込んだりして損害賠償金が命じられるケースがあります。夏休みで子どもだけで自転車で出かける機会が増えるなか、万が一のとき、保護者はどう対応したらよいのか。自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんに教えていただきました。※前編<小学生の「自転車事故」、大人が“想像もしない”思わぬリスクとは? やりがちな危険運転を解説>から続く
【グラフ】要注意!子どもの自転車事故が多い時間帯はこちら「事故証明」がないと、保険金が下りない?
――小学生が自転車事故の加害者になってしまった事例について教えてください。
小学5年生の子どもがマウンテンバイクで坂道を下り、歩行者の女性に正面衝突した事故で、裁判所は保護者に約9500万円の損害賠償を命じました。賠償額が高額なことから話題になった事故ですが、そこまでいかなくても自転車ごとお店に突っ込んだり、車をこすって傷つけたりという事故は頻繁に起きています。例えば、小学生が自転車で青果店に突っ込み、商品を破損したうえ店の設備も壊してしまった事故では、保護者が自転車保険に加入しておらず、数十万円の損害賠償の支払いが大変だったという話もあります。
――万が一、子どもが自転車事故を起こした時、保護者はまず何をしたらいいのでしょうか?
その場で、もしくは子どもがそのまま帰宅してしまったらなるべくすぐに警察に連絡をすることです。例えば、高校生が自転車通学中、歩行者にけがを負わせてしまった時、その場では被害者が「大丈夫だよ」と言って立ち去ったけれども、後になって学校にクレームの電話が入る……というケースもしばしばあります。
自転車保険に入っていれば保険金が下りるかもしれませんが、事故当時の客観的な記録がないと、十分に保障されないこともあります。事故を起こしたら後からもめないように、速やかに110番通報をしましょう。警察は現場の状況を確認し、「交通事故証明証」(事故証明)を発行します。保険会社は、その事故証明を「確かに事故を起こした」という証拠として扱い、保険金支払いなどの対応をします。
被害者側が先を急いでいたり、警察を呼ぶほどではないと言ったりするかもしれませんが、「何かあったときに保険金でお支払いできなくなるので」などと食い下がって、なんとか警察の事故証明を残しておくことは非常に大切です。
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