ありきたりなんですが、本人に決めさせるということだと思います。そうすれば後悔はしないと思うので。
反省しているのは、長男が進路に迷っていた高校生ときのことです。
私たち夫婦は「いい大学」「高学歴」みたいなものにはあまり興味がなくて、逆に「好きなことを仕事にしてほしい」っていう思いが強かった。自分たちもそうやって生きているので、「やりたいことをやりなさい!」って長男の背中を押していたんです。
――好きな道に進むことを応援するって、素敵なことですよね。インタビューでも著名人の方々はよくそう言います。
ですよね。でも、インタビューを受けるような人たちって「好き」がはっきりしていて、その道を突き進んできた能動的な人ばかり。私たち夫婦も、漫画家を目指すような人間です。
けれど、長男はまた違う。彼には彼のペースがあり、好きなことに突き進むタイミングも彼自身が決めるべき。そこをあまり考えず、「好きならすぐ挑戦したらいいじゃん!」と伝えてしまっていたように思います。
――受動的な姿勢でいることも含めて、本人にまかせるということですね。
はい。考えてみれば、私が「漫画家になりたい」と思ったのは子育ても後半戦に入ってからです。本当に好きなことなんて、いつ気づくかわかりません。その過程をすっ飛ばして「好きなことをやりなよ!」って言うのは、やっぱり違うな、と。
――成長する過程で「ああ、この子ってこういう子だったんだ」と気づくこともあるのですね。
もしかしたら、大きくなってからのほうが気づくことが多いかもしれません。しかも4人とも全然違うからおもしろいですね。
最近、つくづく思うんです。人間の成長過程を4人分しっかり見させてもらえるって、本当にありがたいことだなって。がんばって育ててよかったって思います。
(構成/神 素子)
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