県内のあちこちの市町村に滞在施設があって、移住を体験できるんです。

 でも私、高知県がどこにあるかもよくわからなくて(笑)、「高知ってどこ?」「四国か」「四国って行ったことないからいいかも!」と言う感じで、夏休みの旅行がてら移住体験をしてみたんです。

子どもたちの適応力に感謝です

――体験移住の結果、気に入って移住することに?

 はい。食べ物もおいしいし、開放的だし、家族みんなが「高知、いいねえ」って。

 もともと私たち夫婦は引っ越しが好きなので、「いつもの引っ越しが、ちょっと遠くなっただけ」「行ってみて、ダメだったら帰ってくればいい」という感じでした。

――子どもたちは嫌がらなかったんですか?

 「また?」って感じでしたけど、嫌がりはしませんでした。

 ただ、私たちの引っ越し好きにつきあわされている長男は、それまでにも小学校を2回替わっていたんです。だから「小学校は横浜で卒業したい」という希望は尊重して、小6を終えてから引っ越しました。

 幸い長男も次男も学校にはすぐになじんでくれたので、彼らの適応能力にすごく助けられましたね。

――初めての地方での生活、いかがでしたか?

 都会は都会、地方は地方、それぞれいいところがあるなぁって実感しました。

 横浜での子育ては、周囲に子どももママたちもたくさんいて、ちょっと電車に乗ればどこにでも行ける。

 それに比べると今の住まいは、不便といえば不便です。住むことになった家も古くてぼろぼろで、それを一つずつ手を入れて住みやすくしていく作業も、とてもおもしろかったです。「トイレがきれいになった」「お庭ができた」って。都会ではなかなか体験できなかったな、と思います

――お仕事はどうしていたんですか?

 移住する人って、カフェを始めたり、地元の事業にかかわったり、さまざまなんです。そういう話を聞くと「私たちにも、何かできる仕事があるだろう」みたいな気持ちでした。

 無謀……ですよね(笑)。今だったらきっとできないと思うんですけど、30代の自分にとっては、ちょうどいい刺激だったのかもしれません。

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