――そんな兄2人も、今は家を出て独立しているんですよね?

 はい。長男は近くにアパートを借りて自活していて、次男は県外の全寮制の高校に入学して家を出ました。

 そしたら……家事がめちゃくちゃ大変になってしまったんです(笑)。

 ちょうどそのころ私の仕事も忙しくて、夫一人の肩に負担がズシリとかかってしまいました。

――よく「子どもが独立したら家事がラクになった」と聞くのですが、もとこさんの家では逆なんですね。

 敗因は、後進の育成を怠ってしまったことです(笑)。すっかり上の二人に甘えていたんですね。大反省して、三男と長女の家事能力を育てているところです。

「あなたのいいところは、ここだよ」

――お兄ちゃんたちは家事もするし、妹の世話もしますね。どうしたらこんなにいい子に育つの?と思ってしまいます。

 ありがとうございます。でもそれは、私が彼らの「いいところ」や「私がうれしいと感じたこと」を漫画にしているからだと思うんです。

 子どもには必ず、いいところも困ったところもありますよね。でも「いいところ」を漫画にしているせいで、それを読んだ子どもたちは「ぼくのいいところってここなんだ」「これをやればママは喜んでくれるんだ」って気づいてくれたのかな、って思うんです。

 とくに長男は当時口下手なところがあり、私も言葉が足りないところがあったのかもしれません。漫画を通じて私の気持ちが届いていたんじゃないかな、と感じています。

――ご自身の描いた漫画が、子育てを支えてくれたんですね。

 私の場合は漫画でしたが、言葉でも手紙でもいいと思います。「あなたのいいところはここだよ」「こうしてくれるとうれしいよ」と何かの形で伝えることで、子どもはその長所を伸ばせるんじゃないでしょうか。

【マンガ】子どものやる気にどう向き合う…?張り切りすぎた私の失敗談【全8枚】

「私は」を主語にして伝える

――叱るときや、「こうしてほしい」と思ったときにはどうしているんですか?

「Iメッセージで伝える」ということを意識しています。

 これは長男が高校生のとき、コミュニケーションがむずかしくなった時期があって、そのときに本で読んで知ったんです。

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