小中学校に子どもを通わせていると、なかなか避けては通れないPTA活動。入学早々、全家庭にPTA役員の希望調査票が配られたり、思いがけず、くじ引きで「役員」を任命されたりして、驚きや戸惑いを感じる保護者も少なくないかもしれません。そんなPTAにも、近年ある変化がみられるとか。PTAについて長く取材を重ねてきたノンフィクションライターの大塚玲子さんにお話を伺いました。
【写真】意外?あのミュージシャンもPTA会長を経験「わが子の出番も見られない」PTA役員の嘆き
――近年、5月に運動会を開催する小中学校が増えてきました。新学期が始まってすぐの楽しみな行事ですが、PTAの役員や係を引き受ける保護者は大忙し。わが子の活躍を見逃すこともあるという嘆きの声も聞かれるようです。
私の息子が小学生だった10年前も、運動会で準備や設営、警備などをPTAで担う保護者の負担は大きかった印象です。保護者は早朝にお弁当を作って、運動会の準備も手伝って……と本当に大変ですよね。
ただ2020年のコロナ禍では、多くの学校で運動会を含めたイベントが大幅に縮小されました。あれから5年ほどたち、少しずつ行事は戻ってきていますが、保護者の負担を減らそうとする動きは今も残っているかと思います。
――そうした負担減改革の例の一つとして、PTA(保護者)が担ってきた運動会の手伝いを、外部業者に委託するケースがあると聞きますが、実情はどうでしょうか?
確かに、大きな行事では、手伝いやPTA活動の一部を外注するという学校も出てきています。
運動会に関わる業務をすべて外注するのは難しいですが、例えば「見守り」など、一部を業者に委託する例はあると聞きますね。
ただ、もし、プロの警備会社に委託するとなると、警備員ひとり当たり、1日約2万円は必要になると聞きます。複数人頼めば、それなりの金額になるでしょう。
「お金を払って解決」で済まされない現実も
――保護者から集めたPTA会員費から、外注費用を捻出するということですものね。
ええ。共働き家庭が増えている時代ですから、時間を取られるより、むしろお金を払って解決できるならそのほうがいいという保護者もいらっしゃるかもしれません。
ですが、特に公立学校では、さまざまな考えのご家庭があり、PTA会費が増えるほうがよくない、と考える方もいます。
結局、外注をしたとしても、労働力の負担がお金の負担に置き換わるだけで、学校行事において保護者の負担があること自体は変わらない……。この問題は簡単に解決できるとは言えないと思います。
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