そんな状況が変わったのは、高1の冬。日本に一時帰国したときに模試を受けたことがきっかけでした。中学時代は74あった偏差値が45に急落していて、「これはまずい」と思ったんです。
――東大合格に向けてどんな作戦を立てたのでしょうか。
じつは、わが家には「1日30分しか勉強してはならない」というルールもありまして、短時間で効果を出す方法を自分でとことん模索した経験がありました。おかげで「書くよりも読むほうがずっと効率がいい」と気づき、そこから自分なりの勉強法を見つけていました。だから、高1の冬からは、その勉強時間を延ばしていけばいい、という感じでした。
とはいえ、1回目の東大受験は不合格。当時は入試後に得点開示があったのですが、国語だけが驚くほど低かったんですよね。
国語力を強化したら他の教科も偏差値アップ
――マンガ効果で力がついていたはずの国語ですね。
国語は、小学校に上がる前から大人のマンガを読んできた成果か、勉強しなくてもずっと点がとれていたんです。僕なりの分析では、自分の語彙レベルよりも難しいマンガを読んでいたことが理由かな。でも高校生くらいになると、自分のレベルを超えるマンガがほぼなくなってしまい、頭打ちになっていたんだと思います。
だからとにかく国語力を取り戻そうと、1日11時間、哲学書など難しい本を読みまくる生活を4カ月続けました。すると、他の教科には手を出さなかったにもかかわらず、問題文の理解力が上がったり、自分の考えを簡単に言えるようになったり、記憶した内容が言葉によって整理されてきたり――そんな変化が出てきたんです。夏の模試で国語はもちろん、他の教科も偏差値が軒並み上がったんです。
そこからは教科書の全範囲をとことん読みまくるという勉強を継続。東京大学文科Ⅰ類に合格することができました。



――学校をつくるために目指した東大。入ってみて、収穫はありましたか?
僕は東大に入るために、大小いろいろな意思決定を重ねてきました。なかでも「高校に通わない」というのは、大きな決断でした。でも実際に入ってみると、小さい頃から東大に入ることが当たり前で、なんとなく東大にいるような学生が多くて、少しがっかりしたというのが本音です。
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