――漫画を描きはじめてから5年。お子さんたちは漫画に描かれることをどう思っていらっしゃいますか。
子どもたちも大きくなって、以前より、私の描いた漫画を読んでくれなくなりました。ですが、本が出ることは楽しみにしてくれているようです。最近は、別の漫画を描いてばかりだったので、「うちの本は出さないの?」と子どもたちに聞かれました。
長女のケイが中学2年生のころ、「漫画にすることを嫌がる年齢かも?」と思い、このまま漫画を描いてもよいか聞いたことがあります。そうしたら、「今の私がいいって言ってるからどんどん描いていいよ。将来やっぱり嫌になるんじゃないかって? 先のこと気にし過ぎたらやりたいことなんか何にもできへんやろ」と言われたので、今も描けています。「中2なんて一番多感な時期やから、今大丈夫なら、この先も大丈夫やろ」とも。自分のことを「多感」って言っていて笑っちゃいました(笑)。
ハチャメチャだった子が、今ではおやつを分けてくれる
――漫画を描く時に気を付けていることはありますか?
読んでくださった方々の息抜きになってくれたら、と願いながら描いています。育児って、大きくなったから楽になるというものでもありません。新しいステージがきて報われて、また新しいステージがきて……の繰り返しだと感じています。
小さなころはハチャメチャだった子が、人や私に優しくしてくれる。例えば、きょうだいでおやつを取り合っていた子が、私がおやつを食べていないことに気づいて、少しだけだけど、分けてくれる。そんなときに、これまでの育児が報われたと思う。そんな瞬間を大事にしながら描いていけたらと思います。
最新作『マイペースと歩く』は、私が学生のころから変わらないであろう、「思春期の悩み」を描いているのですが、ケイに読んでもらったら「古い」「言葉遣いが40代やわ~」などと言われました(笑)。気になる箇所を教えてもらい、現代の学生さんたちが読んでくれても違和感がないように頑張っています。
(構成/永野原梨香)
三本 阪奈

