ですから、飼っている犬の死そのものについて語るよりも、まずは大きな生命の循環について話すのはいかがでしょう。

 たとえばキャンプに行くと、いろんな生き物を見ると思うんです。死骸に虫がたかっているのをみることもあると思います。「気持ち悪い」ではなく、そこから生命の循環の話をするのもいいと思います。

――動物を飼うということで、私たち自身の視野も広がりますね。

 そうですね。「うちの子(ペット)」だけに目を向けるのではなく、もっと広い視点での考え方を、お子さんに伝えられたらいいのではないでしょうか。

 日本で今ペットを飼える人って、世界的に見ればすごく豊かな人たちです。室内に動物を飼えるスペースがあり、夏は涼しく冬は暖かく、病気になったら高額な医療費が払えるんですから。

 けれど世界に目を向ければ、それをわが子にさえ与えられない人もたくさんいます。本当に、たくさんいるのです。

 そんなことを、お子さんともぜひ話してみてください。

――妙玄さんは、僧侶やカウンセラー、エッセイストとしての仕事のかたわら、三重県の施設で犬や猫の保護活動をしていらっしゃいます。その活動の様子は、コミックサイト・アサコミで連載されている『お世話させていただきます! 犬猫保護施設の奮闘記』や、コミックエッセイ『ペットの声が聞こえたら』(朝日新聞出版)などで読ませていただきました。

 ありがとうございます。作画を担当してくださっているオノユウリさんが描いてくださる犬や猫が、本当にかわいいんですよね。「そうそう、この子はこんな表情してたのよ! よくわかるなぁ」と、オノさんの愛にいつも感動しています。

 マンガでは、「保護活動ってどんなことをするの?」など、保護活動を全然知らない方や子どもたちに向けて、日々の活動内容を紹介しています。

 人里離れた森の中にある施設では、過酷な人生を生き延びた犬猫たちが自分たちの持って生まれた本能をフル回転させて、残された生を目一杯楽しんで過ごす。そんな環境づくりに私たちは全力を注いでいるんです。

 ペットと暮らす喜びや幸せ、病気や死に対しての悲しみなど、さまざまな場面で巻き起こる笑いや涙を、私たちと共有していただけたらうれしいです。

『お世話させていただきます! 犬猫保護施設の奮闘記』を読む(全17枚)

(構成/神 素子)

【後編を読む】「子どもがペットのウンチを片づけないとき、親はどうすればいい?」 動物保護施設で働く僧侶・塩田妙玄に聞くペットの疑問
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神素子
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