――最後まで責任をもって飼うということですね。
確かにそうなのですが、ペットは今20歳くらいまで生きる時代です。でも、20年後の自分なんて想像できますか?
状況はある日突然変わることがあります。転勤や病気、親の介護、もしかしたら離婚するかもしれません。
そのときにペットの世話をどうしていくか。
どうなるかわからない未来を確約するよりも、そのときにできるベストを尽くしていくことが必要だと私は思います。
ペットは人より早く死ぬ、と子どもに伝えるべき?
――こんな質問もあります。「ペットは多くの場合、飼い主よりも先に亡くなります。子どもたちには飼い始める段階から『死』について伝えたほうがいいのでしょうか」(もんさん/子ども6歳)。
その質問も多いのですが、私たち人間は恋人と付き合い始めたとき「別れたとき」のこと考えますか? 赤ちゃんが生まれたとき「死んでしまったら」と話し合いますか?
――確かに! そんな話はしないと思います。
でしょう?(笑) ペットも同じです。飼い始めたときには「いっしょに生きる」ことを考えましょう。ペットが来てくれたワクワクした気持ち、一緒に過ごせる日常を堪能するほうがいいと思います。死はそのことに対峙する出来事が起こったときに、ご家族で一緒に考えていったらいいのではないでしょうか。
――いま犬を飼っている子からの相談もありました。「飼っている犬が先に死んでしまうのが怖いです」(ひさちゃん/7歳)。
現代は「死」に触れる機会がないので、怖いと思うのは自然なことです。親がどんなに説明しても、怖いものは怖い。得体が知れないものは、大人だって怖いですから。
でも、本来の「死」はもっと軽やかなものだと思うんです。
森の中に暮らしていると、不思議と動物の死体は見かけません。死んだ生き物はすぐに別の動物に食べられるんです。残ったものも虫や微生物がきれいにしてくれる。
別の動物の命を栄養にして、ほかの動物は子孫を残し、活動する。そして死んで、別の生物の命を支える。命って、そんなふうに巡っているのです。
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