年少の頃、お迎えの時にふと担任の先生に呼び止められました。

「三男くんて活発なんだけど、あまりお外遊びは好きじゃないのかしら?」

 詳しく聞くと、外遊びでクラスの子たちがそれぞれ楽しく遊んでいる時間、三男は少し離れたところで見守っている先生の隣に並んで立って

「○○くん転んじゃったね。見てくる? △△ちゃんがあっちで泣いてるけどどうしたのかな」

 と逐一報告してばかりで、自分は遊びにいかないそう。

 あれ? もしかして三男って自分のこと先生のサポートスタッフぐらいに思ってない!?

 赤ちゃんの頃から大人から頼りにされたり、同学年でも月齢の小さいお友達のフォローをして褒められたりしているうちに自分の立場を誤解してしまっていたようなんです。

 でも、月齢が大きいから、体の成長が早いからといってなんでもできるわけではないですよね。得意不得意もあります。三男は口は達者だし手先は器用だけど、走るのが遅いことがわかってきました。徐々に周りの子たちも心身の成長が追いついてくると、三男の自信の鼻がポッキリ折られることが増えてきたんです。うん……嫌な予感がムンムンしますね?

 年少の秋の運動会で事件は起こりました。お遊戯前に気に入らないことがあったのか号泣して1人参加できず。先生総動員でフォローしてもらい、気を取り直して走ったリレーではリードしていたのに三男アンカーで大敗。閉会式まで棒立ちで泣き続けました。

 私と夫は呆然。それから半年以上、それまで取っておいた赤ちゃん時代の涙のポットをひっくり返したように毎日毎日泣くようになりました。保育園でのちょっとした失敗や気に入らないことに理由を見つけて涙。行事のたびにみんなの輪に入れなくなったり、前に立たされると泣き出したり。

 赤ちゃんの頃から困らされることがなく保育園でもそつなくやっていたので、親のほうも気が緩んでいたところに青天の霹靂でした。三男の気持ちを受け止め、気が済むまで寄り添っていこう。保育園の先生とも毎日情報交換をしながら根気よく三男が「ちゃんと赤ちゃん時代をやり直せる」ように対応をしていくと、だんだんと不安行動が減り、以前のひょうきんで口が達者な三男に戻っていきました。でも、自分の苦手に向き合えるようになったというか、苦手なりにできるところまでは頑張ろうと思えるようになってきたのは大きな変化でした。

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