「負け」を知った小学校受験、キャパの上限を押し上げた中学受験
――小学校受験もされたそうですね。
都心にある付属小学校をいくつか受験しましたが、すべて落ちました。病気の影響でお受験対策もあまりできなかったので、落ちて当然だったのですが、当時の僕は不合格になったことがショックで、大泣きしたことを覚えています。
でも今にして思えば、ここで挫折を経験したことが、本当に大きかった。芸能人夫婦の子どもとしてちやほやされて、経済的にも何不自由ない環境で育った僕が、天真爛漫な“ゆるふわ2世”にならなかったのは、ここで「負けの味」を知ったからだと思います。幸い、進学した私立小学校はとてもいい学校で、先生方がとても手厚くサポートをしてくれましたし、3年生のときには新薬のおかげで病気は完治。中学受験でも小学校受験のときに不合格になった早稲田実業中学校に合格を果たすことができました。

――中学受験についてはいろいろな意見がありますが、岸谷さんはどのように考えていますか?
中学受験は、絶対にしたほうがいいです。中学受験の勉強では、単なる学力だけでなく、物事をロジカルに考えたり、問題の本質を見抜いたりする力も鍛えられます。それに、学校の勉強に加えて塾の予習復習、模試など自分のキャパシティーを確実に超えるタスクを課される経験は、能力の“天井”を上げることにもつながるんです。
――遊ぶ時間を削って勉強するなんて、という意見もあります。
勉強の時間が取れないほど遊ぶ必要って、ありますか? 親が「遊びも勉強もどちらも楽しいもので、両立するのが当たり前」という価値観で育てれば、子どももそう考えるようになると思います。
子ども時代の読書経験は親からの最高のギフト
――ご自身の経験も踏まえ、子どものうちに「これはしておいたほうがいい」ということはありますか?
本を読むことですね。病気で家にいる時間が長かったこともあり、小さいころから本が大好きで、小学校3年生のクリスマスには、ポプラ社の児童書「ズッコケ三人組」シリーズ全50巻をサンタクロースに頼みました。Amazonの大きな段ボール箱に入ってきたので、サンタクロースの真実には気付いてしまいましたが(笑)、ものすごくうれしかったのを覚えています。我が家の場合、受験に関しては、圧倒的に母主導でしたが、本を買い与えることも含め「子どもの教育への投資こそが、最高のお金の使い方だ」という考え方は、両親共通でした。
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