仕方がない。誰も悪くない。そうして消化できなかった記憶を13年、心の中に漬物石で重しをして発酵させたら……酸味のキツい「恨み節」の出来上がり。
話は現在に戻ります。先日、三男の入学式にかぶる形で夫は海外出張が入り参列できないことが分かりました。まあ自分たちの頃は式典に父親が来ないのなんて当たり前だったし、出張は自分だけの予定で調整はできない仕事。実際怒るほどのことではなかったのに、夫の平然とした言い方に私、プツンときてしまいました。
「いつもそうだよね! 入学してしばらくは子どもも不安定だし登下校にも付添いが必要、午前中に帰ってきてお昼も作るし仕事ははかどらない。大きくなった子どもにいい父親ぶっても【一番いてほしい時】にあなたって絶対いてくれないじゃん!!」
号泣しながら突然まくし立てた妻に、悪霊でも乗り移ったかとあっけにとられていた夫。私の慟哭を聞き終えて放った一言は、
「……なんでただ出張日程を報告しただけでこんなに怒られているのかわからない」
ダメだ、分かり合えない……。
結局その日は感情的になりすぎて伝わらず、もの別れに終わりました。モヤモヤって一度飛び出してしまうと、心の奥底に無かったこととしてしまい直すことはできないんですよね。そんなわけでしばし冷戦状態が続きました。
一体、私はどうしてほしかったんだろう? 夫婦がお互い納得し恨みを残さずに子育てしていくのに、今後どうしたらいいんだろう?
結論が出ないまま三男の卒園式が近づいてきました。役員として式や謝恩会の準備に明け暮れていたところ、ふと先生に呼び止められたんです。
「例年担任にいただいているお花ですけど、今後は辞退させていただきたくて……」
お世話になった担任の先生に父母からはぜひお花を贈りたかったので驚いて理由を聞くと、在園中に子どもたちを保育した先生はたくさんいるのに、最高学年の担任だけが特別にお花をいただくのは心苦しい、とのこと。
ハッとしました。たしかに最後に送り出してくれるのは年長担任だけど、その子の一番大変だった時、一番成長した時はみんなそれぞれにピークの年があって、その時を見てくれた先生もいます。なので通った園では卒園近くなると乳児時代担任だった先生とのふれあいを増やし、謝恩会でも乳児期の担任の先生からのお話がプログラムに入っているんですね。
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