元々私自身は意見を主張するタイプではなかったので、不都合があったわけではないですが。スイスで私のようなタイプは逆に浮いていたので、不思議な感覚でしたね。
――確かに日本の高校生が、政治についての意見を交わすことはあまりないかもしれません。
それはなぜだろう?と考えたときに、逆に日本の政治をウォッチしてみたい、そしてその謎を解き明かしたいという気持ちになりまして。日本の政治について調べるようになりました。
政治ウォッチはディープな社会見学という感覚です
――具体的にはどんな風に政治について調べられたのでしょうか?
初めは国会議事堂の見学コースに参加したのですが、やはり国会での論戦を見たいと思うようになり、本会議の傍聴にも何度も足を運びました。
――いきなり一人で行かれたのですか? なかなかハードルが高い気がしますが……。
もともと友だちとワイワイ行動するタイプではなかったですし、そこは全然大丈夫でした。何より国会の傍聴は面白いんです。どんどんハマっていきましたね。
――どんなところが面白いのでしょうか?
国会ではいろいろな法案が議論されますが、各党それぞれの正義や思いがぶつかり合う様子とか、政治家さんたちの熱量やその場のピリピリした空気感が伝わってくる感じとか。
――法案のテーマは多岐にわたっていると思うのですが、難しい内容はありませんでしたか?
もちろん、身近に感じられないような話題もありましたが、全部大事なことであり、知っていかないといけないと思いました。えんぴつと白い紙は持ち込めたため、内容を理解するためにも、メモを取るようにしていました。ディープな社会科見学という感覚だった気がします。
その後、国会見学だけでは飽き足らず、選挙期間中は選挙演説を聞くために、日本全国を回るようになりました。
――政治ウォッチをするようになって、ご自分のなかで変化はありましたか?
当時20歳前後だった自分にとって、「世の中はどうあるべきなのか」「世界はどの方向に向かって行くのか」と考える良い機会にもなりましたし、世界を広げるきっかけにもなりましたね。
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