アタマジラミが見つかったら、すぐに市販薬で駆除することが大切。でも、一部のアタマジラミはシャンプータイプの薬が効かないことを知っていますか? また、子どもの頭に薬を塗ったり、くしですいたりする作業は保護者の時間的・経済的負担が大きいという問題も……。そうしたなか、新薬の研究が進んでいます。アタマジラミ対策の最前線を、琉球大学病院皮膚科の山口さやか先生にうかがいました。 ※前編<子どもの頭にフケ…と思ったら「アタマジラミ」 毎日シャンプーしていても「うつる」理由とは 専門医に聞く>から続く
【苦手な方は注意】アタマジラミの写真はこちらインターナショナルスクールでも、耐性アタマジラミが
――アタマジラミを駆除する薬は市販薬だけとうかがいました。アタマジラミが集団発生するとみんなで対策する必要があるのに、なぜ市販薬しかないのでしょうか。
戦後、子どもたちが頭に粉を振りかけられていた写真を見たことはありますか? あれはアタマジラミを駆除する「DDT」という薬でしたが、1970年代に安全性などが問題になり、使用禁止になりました。その後、しばらく有効な薬がない時期にアタマジラミが集団発生することもありましたが、80年代以降にピレスロイド系のパウダーやシャンプーが発売されて駆除できるようになり、大きな問題はなかったのだと思います。
しかし、90年代半ばから海外でピレスロイド系のシャンプーが効かないアタマジラミが報告され始めました。長年同じ薬を使い続けたことで、アタマジラミが薬に慣れてしまい、耐性化してしまったのです。日本では、2006~11年にかけて国立感染症研究所が全国調査を行いました。その結果、耐性アタマジラミの割合は全国で10%以下でしたが、沖縄県だけは96%と突出していました。その後、沖縄では2回の調査が行われましたが、90%以上が耐性化したままの状態が続いています。
――どうして沖縄県だけ、これほど耐性化が進んでいるのですか?
はっきりした理由はわかっていません。ただ、沖縄以外でもインターナショナルスクールで耐性アタマジラミが見つかるケースがあり、海外から持ち込まれて広がっているのではないかと考えられています。今後はどこの地域でも、耐性アタマジラミが増えていく可能性はあります。
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