事前の情報を信じない訳ではありませんが、そのようなことが起きるのが1年生なのです。プレクラス制度を導入したことにより、仮クラスで児童の状態をで把握したうえでの学級編制ができて、スムーズな学級運営を実現することができました

児童にとってもさまざまなメリットがある

――具体的な運営方法は?

 子どもたちの様子を見るのに長ければ長いほどいいでしょうが、あまり長いと1年が終わっちゃいますしね(笑)。私が校長をしていた頃は、入学してから1カ月を仮クラスで過ごし、5月に本クラスを編制していました。

 仮クラス期間は1年生の担任全員で全クラスを見ます。私が導入した際は、2、3日ごとに受け持つクラスを変えていました。そして、1年の全教員が児童を見て、その情報をもとに本クラスの編制を検討する。

 仮クラス時に1組、2組などと決めてしまうと、本クラスになった際に子どもたちが「わたしは1組だったのに、これから2組?」などと間違ったり混乱したりするので、赤組、緑組など色で組み分けましたね。

 これは私の時の例で、プレクラス運営に正解はない。導入した小学校の校長先生や先生方が話し合ってお決めになればいいと思います。

――本クラス制は具体的に、どのように行うのでしょうか?

 とにかく元気な活発な児童には若手の運動が得意な先生の学級にして体をたくさん動かしてもらう。たくさん話を聞いてもらいたい児童の場合、包容力のある先生の学級にして、安心して過ごしてもらうなど、児童の特性だけでなく、先生の強みも考えながら学級編制ができました。また、心配性な保護者の方には安心して学校にお子さんを任せてもらえるよう、ベテランの先生のクラスにしたこともありました。

「仮クラスでせっかくできたコミュニティが壊れるのでは?」という声もありますが、そのようなことはなく、児童全員にとって他の学級にお友達がいること、他の学級に顔と名前が分かる先生がいることは、自分の世界が広がるということです

「自分の学級と担任の先生」という狭い世界ではない。何かあったら、学級の担任ではない、自分が伝えやすいと思う他の学級の先生に頼ることも、他の学級のお友達と遊ぶこともできますから。児童、先生、保護者にも良い策なのです。

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