――モンテッソーリ教育にも通じる「信じて、見守る」ですね。
そうですね。そのせいか、娘たちは早く大人になったと思います。私が同じくらいの年齢のときと比べると、圧倒的に大人です。
次女はまだ16歳ですが、私が長期間日本に戻っているときでも心配はありません。ふだんから一人で起きて学校に行き、自分で時間管理もできる子です。いつもは私がお弁当を作るのですが、私がいなければ自分で準備して出かけるようです。
アメリカでは、女の子が16歳になると「Sweet Sixteen」と言って大人への仲間入りとされるんです。娘を見ていると、確かにそうだと感じます。
――心配なことはありませんか?
私、「楽観的に物事を考えようとする主義」なんです(笑)。
心配なことや大変なことはいろいろあるんですが、そうじゃない部分を見るようにしています、努力して。
私はもともと心配性だし、落ち込み体質なんですが、マインドセットで人は変われると信じています。努力型のポジティブなのです(笑)。
ニューヨークと日本、両方の長所を形に
――久保さんにとって、ニューヨークはどんな存在ですか?
闘いの場所……ですね。
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――闘いの場所? どういう意味ですか?
私にとって日本はとても心地いい場所です。安全だし、食べ物はおいしいし、清潔だし、人は親切だし。穏やかスイッチが入るんです。
でもニューヨークに戻ってエンパイアステートビルが目に入ると、戦闘モードに切り替わります。身の安全には常に注意するし、英語脳のスイッチが入り「言うべきことをきちんと言わなくちゃ」という気持ちになります。
その毎日はすごく刺激的で、私をもっと高いところに連れていってくれる街、私の背中を押してくれる街なのです。
――ニューヨークでは、日本ではできない挑戦ができるということですか?
私はいま53歳ですが、日本だとどうしてもその年齢を意識させられるのです。たとえば日本でインタビューを受けると、「どうして50代で幼稚園の先生に?」と必ず年齢もセットで聞かれますが、アメリカで聞かれたことはありません。
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