2016年から、夫と2人の娘とともにニューヨークで暮らしているフリーアナウンサーの久保純子さん。23歳の長女は昨年アメリカの大学を卒業し、16歳の次女はハイスクールに通う高校生。異文化の中で思春期の子どもを育ててきた久保さんは、日米の教育の違いをどう感じているのでしょうか。※前編<元NHK久保純子アナが語る、アメリカの幼稚園教諭として働く理由 「夢がかなってとても幸せ」>から読む

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アメリカの高校生は「勉強の嵐」!

――2人のお子さんをアメリカの学校で育てるなかで、その違いに戸惑うことはありましたか?

 アメリカの小学校は、子どもをものすごく遊ばせるんです。宿題もほとんどありませんでした。でも中学校からは少し難しくなって、高校生になると猛烈に勉強しなくては追いつけなくなります。日本のような一発勝負の受験ではなく、日々の評価が大学入試に結びつくので、本当に大変なんです。

 しかもアメリカの高校にはAP(Advanced Placement)という科目があって、これをとると大学の単位として認めてもらえます。娘もそれをいくつかとっているので「毎日が勉強の嵐!」って感じです。

――高校生のうちに大学の単位をとるんですか?

 そうなんです。アメリカの大学の学費はとても高くて、1年間で1千万円くらいかかることも多い。高校時代に単位をとると、そのぶん学費が抑えられるメリットがあります。もちろん、大学入試でも有利になります。

――一発勝負の日本の大学受験も大変ですが、アメリカの受験も大変そうです。

 アメリカの大学入試でもっとも重要なのは、自分に関する「エッセイ」です。これは日本でいうエッセイ(随筆)ではなく、就職活動のときの自己アピールに近いかもしれません。自分の考えや人間性を何千字にもわたる長文で書かなくてはいけないので、入試までに「自分」をしっかり確立する必要があります。

 だからこそアメリカの教育は、教師が一方的に生徒に教えるのではなく、常に議論し意見を交わし、自分の考えをまとめていく授業になっているんです。それは小学生でも同じです。

 たとえば2016年のトランプ対クリントンの大統領選挙のとき、次女のクラスでは、半分がトランプ派、もう半分はクリントン派に分かれて討論するという授業がありました。当時はアメリカに来たばかりだったので、「まだ小3なのに!」とびっくりしました。

 そのほかにも、日常的に「その意見に対してきみはどう思うか?」と問われますし、みんなの前で発表する機会も多くあります。

 英語という言語は、「私はどう思うか」を語るための言葉なのだと改めて感じました。

イギリス在住時の久保純子さん(上段、右から2番目)「小学校4年生で父の転勤でイギリスへ。全く英語が話せず、殻に閉じこもったような状況でしたが、1年を過ぎたころから少しずつ友だちもできるようになりました」
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神素子
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