特に、ゲームや動画に対する衝動はとても大きなもののようで、「(自分の意思だけでは)どうしてもやめられない」という相談を生徒から受けることもあります。

 受験の妨げになると本人が自覚していたら、一時的なスマートフォンの解約もひとつの手段かもしれません。

「こだわりが強い」タイプは?

 心の声が大きいタイプの中には、時にこだわりが強く、自分のやり方でしか学習できない(勉強の仕方を修正できない)子もいます。そのため家庭学習自体が難しい場合もありますが、「一度覚えたことは、忘れない」という子も多いです。

 教え子の中には「工学部に行きたい」という明確な目標を持ちつつもどうしても家庭学習ができず、家での勉強の必要性を説明しても逃避のためのトイレの時間だけが増えてしまう……という子もいました。ただ、家庭教師の授業は熱心に受けてくれていたので、「授業中で理解しきる」という方針をとり、合格していきました。

 もし書字障害があれば、書くことは最小限でいいので、動画授業などを繰り返し見て覚えることも有効です。

 このタイプの子は期日までに課題を仕上げることを、本当に難しく感じると思うのですが、本人が「こうしたい」という目標を持てば、クリアしていくことも可能です。

 ちなみにこの生徒は工学部に進学後、大好きな理科系の授業が楽しいのかほぼ休むことなく、遅刻もなく通学し、毎日遅くまでレポートに取り組み、課題も提出できていました。別人のような様子に、ご家族は驚きつつも安堵されていました。

「やらないのではなく、できない」のが本音だと思うので、どんな形ならできるのか、探していきましょう。

 受験の際には、学校を通じて合理的配慮(障害のある人が社会生活において平等に参加できるよう、障害特性や困りごとに合わせて提供される配慮のこと。学校や行政は合理的配慮を義務づけられている)を申し出ることができます。

 書字障害があれば試験時間の延長。緊張するとトイレに行く回数が増える傾向にあれば、トイレに一番近い席での受験。読むことが難しければ試験問題の拡大など、症状に応じて配慮してくれる受験校もあります。

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