不登校のメカニズムが個性×環境の不一致であると捉えると、一旦立ち止まれたことは大金星――。そう語るのは、 “不登校専門のオンラインプロ家庭教師”、「イエローシードラビー」代表の植木和実さんです。不登校の期間に勉強と一緒に取り組んでおきたいことについて、植木和実さんの著書「これだけで大丈夫! ずっと不登校でも1年で希望の高校に合格する方法」(日本実業出版社)からお届けします。
【マンガで読む】「なぜ学校に行けないの?」と聞いても、子どもが「わからない」と言うのはなぜ? 不登校で“原因探し”より大切なこと(全31枚)勉強と一緒に取り組んでおきたい 不登校の心理学
一般的に、不登校は「個性と環境の掛け算」で起こるとされています。
生徒一人ひとりに個性があり、その個性が集まって集団を形成し、環境がつくられるわけですが、持って生まれた個性が、その環境に必ず合うとは限りません。
集団での教育は、より多くのさまざまな個性を持つ生徒たちに適応できるように、「真ん中」に合わせて用意されることが多いです。
どこか多数決の理論で、「真ん中に合わせることが普通、「暗黙の了解」になってしまっているのですが、真ん中から離れた個性を持つ生徒たちは、絶えず「真ん中」に合わせる努力をし続けています。
不登校の要因はさまざまですが、これが不登校の原因になることもあります。
ヒトは、誰ひとり同じではありません。そのご家庭の子どもたち全員の家庭教師をすることも多かったのですが、兄弟でさえ、双子でさえも、得意なことや考え方、性格は全く違います。
私たちは、一人ひとりがそれぞれ異なる遺伝子パターンを担っています。
そして、それらは、環境に適応して調節される機能も持っています。
地球上のどんな環境下でも、どんな状況になっても、その状況に適応する遺伝子パターンを持った誰かが生き残り、そこからまた種が繁栄するように、ヒトは「種として、より多くの種類の遺伝子のパターンを持つ」という生存戦略を選択してきました。それはヒトが誕生してから絶えることなくつながれてきた命のバトンでもあります。
個性に優劣はありません。まして、その子のせいでもご両親のせいでもありません。私たち一人ひとりが、その遺伝子パターンの担い手です。
一方で、学校は社会の縮図。それでも社会は、真ん中に合わせてつくられています。真ん中から離れた個性は本来、それが一番の強みであり、宝物ですが、本人としては生きづらさを感じることもあります。
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