こうした酒造りは、500年以上前の室町時代に技術のもとができました。できた酒は儀式や祭礼などでふるまわれ、日本の文化や慣習の中で欠かせないものとなっています。文化庁によると、酒類に関するものでは、これまで「古代ジョージアの伝統的なクヴェヴリのワイン製造方法」や、「ベルギーのビール文化」などが登録されています。

海外での日本酒人気にさらなる期待

 日本酒業界は登録をとても喜んでいます。というのも、国内の消費量が減り続けているという悩みを抱えているからです。酒の種類が増えたことや人口減少などから、日本酒離れが進んでいるのです。国税庁によると、22年度の日本酒の出荷量は40万7千キロリットル。ここ50年で約4分の1に減っています。日本酒を造る蔵元の数も後継者不足もあって、ここ50年で半分以下になりました。

 業界が期待しているのが、海外です。日本酒造組合中央会によると、23年の日本酒の輸出額は約411億円で、ここ10年で約4倍になっています。中国、アメリカ、香港のほか、イタリアなどのヨーロッパの国でも増えています。

 13年に「和食」が無形文化遺産に登録され、海外の日本食レストランが急増したことが影響しています。また、訪日外国人客が酒蔵を見学したり日本酒を飲んだりする機会も増えています。こうしたことにより和食に興味を持つ人が増え、「和食に合うのは日本酒」と考える外国人が増えているのです。

 この登録により、こうじ菌を使う独特の造り方に関心が向かい、国内外でブランド力が上がって日本酒離れに歯止めがかかることを業界は期待しています。

日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に! 登録されるとどんなメリットがあるの? わかりやすく解説
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