英語の発音の習得は難しいものですが、「なまっていても大丈夫! 世界の英語の9割はなまっていますから」と語るのは、アメリカで長年教育に携わる、スタンフォード・オンライン・ハイスクール校長の星友啓さん。新刊『脳を活かす英会話 スタンフォード博士が教える超速英語学習法』(朝日新書)では、英語のコミュニケーションにおいて重要なのは「伝わる英語のテクニック」だと言います。“日本語を介さない英語脳”になるための第一歩として星さんが提唱する「ルー大柴メソッド」、その極意を教わりました。
【画像】ChatGPTとの英会話、どう始める? 大事なのはひとこと目ネイティブ英語は目指さなくてOK!
――日本人の英語学習では発音もハードルの一つです。やはりネイティブに近い発音を身につけた方がいいのでしょうか? 海外ではなまりのある英語も耳にしますが。
ネイティブ英語を目指す必要はないと思います。現在、世界では約15億人が英語を使っていると言われており、その中でネイティブ・スピーカーと呼ばれる人は4億人、そのうちスタンダードとされるイギリス英語を話す人は200万人ほど。世界ではノン・ネイティブの人が大半で、スタンダードなイギリス英語を基準とすると9割の人がなまっているんですね。グローバル社会ではノン・ネイティブのほうが英語コミュニケーションでは有利という現象も起きています。例えば、ネイティブの人がスラスラ話しても理解されにくい一方で、ノン・ネイティブはゆっくり話したり何度も言い直したりするので結果的に伝わりやすい、というようなことが起きているようです。私自身もノン・ネイティブだからと、じっくり話を聞いてもらえた経験がたくさんあります。
また、英語の発音にはいくつかのポイントがあり、そちらを押さえるほうが伝わりやすくなると思います。たとえば「母音」の発音は、日本語発音で差がないものには差をつけなくても伝わります。どちらも日本語では「ア」ですから、「cut」の「/ʌ/」を「/æ/」と言っても通じる。ネイティブっぽく発音しようとすると逆に理解されにくい場合もあるので、英語学習の目的が正しい発音で話すことではなく「相手と会話する」ことなら、必ずしもネイティブ英語に寄せる必要はないのです。
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