「厳しいって」(6位)もYouTube発ですが、その場の空気を重くしない言葉ですよね。「おい、笑える」(8位)も、一般人であるおばあちゃんがボソッと発した言葉がショート動画を通じて全国的に広まり、小学生まで届くようになったようです。聞いて嫌な気持ちにはならないですし、誰も傷つけない言葉。「ギリハッピー」(10位)にも、同じことが言えますね。今年はとくに「前向きな言葉が多いな」という印象を受けました。
推しが流行を生み出す?
――「小学生の流行語」から見える時代背景とは。
SNS発の言葉が多い、ということに加え、「推し」の存在が大きくなっているように感じます。流行語と同様に小学生を対象におこなっている「100万円あったら何に使う?」「ワクワクすることはなんですか?」というアンケートでも、近年は「推し活」というワードがベスト3に入ってきます。
かつては、友だちや家族の存在が人生の中心にあり、その次に「テレビ」から受ける影響が大きかった。ですが、いまは推しの登場するYouTube番組を見て、そこで耳にした言葉を学校で口にすることで広まっていく。「推し」が「テレビ」に取って代わるようになったのかもしれません。
――来年の同時期に同じ調査を行なったとして、どれくらいの言葉が残っていると思いますか?
来年と言わず、半年後に同じ調査をおこなったとしたら、半分くらいが入れ替わるのではないでしょうか。広まるのも早いですが、忘れられるのも早いので。「まいたけまいたけぐるぐるぐるぐる」や「ひき肉です」(5位)は、使用できる機会が少ないので、残っていない可能性が高いのかな、と。そうした言葉よりは汎用性のある言葉の方が残りやすい気がします。1位の「切り替えピース」はさまざまなシチュエーションで使えるポジティブな言葉なので、残っていればいいな、と密かに思っています。
ベスト10に入った流行語を改めて見てみると、「名詞」がほとんどないですね。呼びかけや挨拶といった、集団生活でこそ使える言葉が多いのも小学生の流行語の特徴と言えるかもしれません。
(構成/古谷ゆう子)