稲葉 子どもの乗り物酔いは小学校低学年ごろから増えてきます。それまでは乗り物酔いしにくかった子でも急に症状が出てくることもあるため、できれば、乗車前に乗り物酔い薬を飲ませてあげると安心です。そうしてまずは、子どもに乗り物酔いのクセをつけないことが大切です。遠足などで酔って吐いてしまう経験が、その不安感から次回以降の乗り物酔いを誘発することもあります。

 乗り物酔い薬も上手に使えば、子どもに「乗り物に乗っても酔わない」という自信をつけさせてあげることができます。

子どもの乗り物酔い薬はどんな成分でできているの? 薬剤師に聞く

――乗り物酔いの薬はおもにどんな成分でできていますか?

新藤えりかさん(以下、新藤) 主な成分は、乗り物酔いの原因となる「感覚の混乱」を抑える抗コリン成分と、自律神経の乱れに働きかけ、酔いの症状を予防・緩和する抗ヒスタミン成分です。これに加え、吐き気やめまいに効く成分や、揺れによって起こる感覚の混乱を予防するカフェインなどが配合されていることがあります。

――薬を飲めば絶対に酔わないのでしょうか?

新藤 薬を飲めば必ず酔わない、というわけではありません。効き目には個人差があり、完全に酔いを防げない場合もありますが、症状の緩和には有効とされています。また、酔った後でも効く薬もあります。事前に飲み忘れても、そうした薬を持っていけば、酔い止め効果が得られます。ただし、乗り物酔い薬の多くは、飲んでから効果が表れるまで30分程度必要ですので、心配な場合は、事前に飲んでおくことをおすすめします。

 また、乗り物酔い薬は実際には飲まなくても、「薬を持っているだけで安心感が得られる」という人も多いです。心理的効果により、乗り物酔い抑制作用も期待できるため、酔ってからでも飲めるタイプの薬をお守り代わりに持っていくのもおすすめです。

子ども用と大人用の薬、どんな違いがあるの?

――子ども用の薬と大人用の薬で、成分に違いはあるのですか?

新藤 基本的には、子ども用と大人用の乗り物酔い薬は同じ成分で作られています。ただし、子ども用の薬は成分量が大人用の約半量に調整されている点が違います。

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