秋の行楽シーズンを迎え、遠足などの学校行事やマイカーで行楽地へ出かける予定も増える時期です。せっかくの遠足や旅行だけど、「乗り物酔いが心配」という子もいるでしょう。乗り物酔いを防ぐには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。耳鼻咽喉科医のいなばクリニック院長の稲葉岳也先生に、仕組みや予防のポイントについてお聞きしました。※後編〈子どもの「乗り物酔い薬」どのタイミングで飲むのがいい? 医師と薬剤師に聞く、薬の正しい使い方とは〉に続く
【図表】子どもの「乗り物酔い」を防ぐ9つのポイント乗り物酔いをしてしまうのはなぜ?
――そもそも、どうして乗り物酔いになってしまうのでしょうか。
乗り物酔いは、おもに三半規管(内耳のバランス感覚をつかさどる部分)と目からの視覚情報の不一致が原因で発生します。乗り物が動いているとき、三半規管はその揺れや加速を感じとっていますが、同時に目で見た景色が動いていないと脳が混乱してしまいます。たとえば、景色がよく見えない座席に座っていたり、車の中で本を読んでいたりするケースです。この感覚の不一致により、脳は体に「異常が起きている」と誤って認識し、吐き気やめまいなどの乗り物酔いの症状が引き起こされます。とくに、5歳から20歳までの成長期に症状が出やすいとされています。
――なぜ、成長期に乗り物酔いの症状が出やすいのですか。
成長期は、体のバランスを保つための三半規管も発育途中で未熟です。そのため、バランスの乱れにも敏感になりやすく、乗り物酔いもしやすくなります。逆に4歳までの子どもはからだの器官が未発達で三半規管でズレや混乱をまだよく感知できていないため、乗り物酔いの症状が見られにくい傾向があります。
乗り物酔いする子、しない子、「遺伝」は関係ある?
――乗り物酔いになりやすい子の特徴は?
成長とともに、「幼稚園のころには乗り物酔いをしなかった」という子でも酔いやすくなることがあります。とくに、小学校低学年は乗り物酔いの症状が出始める時期です。高学年になるにつれて症状が出にくくなるケースも多いため、小学校低学年がもっとも乗り物酔いしやすい時期といえるかもしれません。
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