――出産育児祝い金200万円や応援手当といった思い切った制度を導入した背景は?

 22年、これからの世代が働きやすい環境をつくりたいと検討していた際、社員からは「時短勤務を、現状の未就学児までから小学6年生までに拡充してほしい」との声が多く届いていました。そこで、まずは仕事と育児の両立支援を整えることにしました。

 検討する過程で、あらゆる社員にヒアリングをしたところ、いろいろな声が上がりました。「不妊治療で休みを取りたいという声がある。それならば、育児だけでなく、介護やその他の理由でも使える汎用性のある休暇が必要ではないか」「時短勤務を取得するための事由を、不妊治療などの理由でも使えるようにしたらどうか」など、メンバーで案を出し話し合いました。

 包括的な両立支援制度は1年半を経てやっと完成し、創業100周年を迎えて人事制度改定の一つに盛り込むことができました。この両立支援制度では、今回導入を決めたお祝い金支給や応援手当のほか、傷病や育児や介護、不妊治療などで休むことのできる制度「ライフサポート休暇制度」の新設、仕事と家庭の時間配分をそれぞれの社員が選べる環境を整えるため、小学6年生の年度末までに短時間勤務制度を拡充、不妊治療でも時短勤務ができるようにしました。

おもちゃ好きの「優しい人」が多い会社

――タカラトミーは以前から、子育てへの理解がある企業風土でしたか。

 おもちゃ好きで子ども好きだし、優しい人が多い気がします。私自身も子育てをする母親ですが、まだ子どもが小さかったころ、熱を出し、保育園から連絡があると、上司がすぐに「早く帰りなさい」と声をかけてくれました。別の社員の話では「早く帰ってお子さんがおもちゃで遊んだことを報告することも、会社の役に立つよ」と、上司が言ってくれたという話も聞きました。

 さらにより良い形で働きがいが促進され、最大限のパフォーマンスが発揮できるような職場環境をつくっていきたいという思いが、今回の制度の根底にあります。

(構成/永野原梨香)

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