「一つの目標に熱意をもって取り組むことで学べることがたくさんあると思います。昨年1位じゃないとわかった瞬間、彼らは悔し涙を流しました。2位になってしまった理由をこの子たちはわかっています。全力で取り組んだ生徒は、大学入試でもいい結果を出しますし、卒業後も活躍しています」
一方で、メンバーのひとりは鉄道模型の魅力を次のように表現してくれた。
「それぞれに担当した部分を一つに組み合わせて完成したときの感動は大きいです。さらにコンテスト会場では、各校のモジュール作品を一つにつなげます。お互いライバルではあるのですが、一つにつながった線路を鉄道模型が走るときには一体感を味わえます」
【駒場東邦】あえて模型コンテストには出ない。義務や競争としてやりたくないから
【駒場東邦中学校・高等学校】
放課後の特別教室が活動の場であるが、部員のそれぞれがばらばらなことをしていて、まるで統率がとれてない。それが見ていてほほ笑ましい。鉄道模型のパーツをつくる工作をしている部員もいれば、文化祭で使用するという案内板をつくっている部員もいる。ある部員は、パソコンを開いて1人黙々と懸命に操作していた。部室から「発掘」された、運転シミュレーター用の古いコントローラーを使えるようにしたいらしい。成功したときには「おお、すげー!」という歓声が上がった。
コンテストに出るか、否か自分たちで判断
駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)の文化系の部活の中でも一大派閥が鉄道研究部だ。ただし2024年度は全国高等学校鉄道模型コンテストへの出展予定はない。
「23年度は出ましたけど、なんか違うなと思っちゃって。自分たちのつくりたいものを、自由にのびのびとつくりたいし、それを人と競うことにも興味がないし……」と部長は説明する。
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