勉強もしなくなり、入学当初は受験勉強の貯金でキープしていた成績も次第に低迷。
成績が上がらないことから、さらにやる気がなくなる……という負のループに陥り、学校も休みがちになってしまいました。
学校の雰囲気が気に入り「絶対この学校に行きたい」
一方、B君は、幼児教室からの延長で通っていた学習塾の進学コースで、5年生から受験勉強を始めました。B君は二人兄弟で、兄は大手進学塾に通い、偏差値60台の進学校に進学していましたが、活発な兄と比べて幼くおっとりしているB君は成績もなかなか上がりませんでした。
両親はB君に合った環境で学べるのが一番と考えて、学校選びを行いました。
B君とも受験について、また中学校で何を学びたいかについて話し合い、A君が進学した男子校を第一志望にして受験に臨み、合格したのです。
B君がその学校を志望するようになったきっかけは、学校の授業体験会でした。
自分が気になるテーマに関する新聞作りの課題にハマってしまい、終了時間がきても作業を続けていたB君に、担当の先生が「君は自分の考えを持っていて、それを表現する力があるね。時間は気にせず完成させていいよ」と声をかけてくれたのです。
それまで自分に自信を持てなかったB君ですが、先生や在校生の温かい雰囲気が気に入って、絶対この学校に行きたいと思ったそうです。
両親も、日々の課題に追われずのびのびと過ごしながら、自分のやりたいことを見つけていける学校がB君に合っているのではと思っていたので、賛成しました。
中学時代はそんなに目立った変化もなかったB君ですが、高校になってやりたいことが見つかってからは、両親も驚くほど自分から勉強するようになり、大学受験では見事、志望校合格を果たしたそうです。
「わが家の受験軸」が持てているかどうか
同じ学校に通ったのに、二人の様子は全く違いますよね。
この違いはどこからくるのでしょう。
A君の場合は、何のために受験をするのかという受験軸を持たないまま受験をし、親のほうが「こんな学校にしか行けなかった」という価値観を手放せなかったことがこの結果を招いています。ただ、そのことに、親は気づかないのです。
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