中学受験をしてせっかく志望校に合格したのに、入学後に燃え尽き、つぶれてしまう子もいます。なぜそんなことになってしまうのでしょうか。教育ジャーナリスト・中曽根陽子さんは、中学受験を成功させるためには「何のために受験をするのか」という「受験軸」が必要だと説きます。その理由などについて、中曽根さんの著書『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)から紹介します。

入学後、前向きに取り組める子とそうでない子の違いとは?

 受験軸は受験時だけに力を発揮するわけではありません。中学に入学したあとの子どもにも、よい影響を与えます。

 受験軸がある子とない子では、入学後の意識が違ってくるのです。

「何のために受験をするのか」という受験軸をより具体的に示すと

•中高で(子どもは)何を学びたいか、(親は)学ばせたいか

•中高の学びで(子どもは)何を得たいか、(親は)得てほしいか

•中高で(子どもは)どんな経験をしたいか、(親は)してほしいか

 となります。

 つまり、「受験軸を決めること=中学校に入ってから何をしたいか」というビジョンを描くことになるのです。

 もちろん、まだ小学校3年生の段階では、ここまで具体的に考えられない子がほとんどでしょうから、そのときできる範囲で考え、決められたら十分です。大まかでもこのビジョンがあるかないかでは、入学後の生活に違いが出てきます。

「何をしたいか」という受験軸を持って入学した子は、入学後もやりたいことをイメージできるので、前向きに学校生活を送ることができます。

 また、自分の考えに沿って選んだ学校で学べているという思いは、学習意欲の向上につながります。この結果、授業や課外活動にも積極的に取り組めるようになり、学力も伸びていくのです。

 一方、受験軸がないと「志望校合格がゴール」になってしまい、入学後に燃え尽き症候群のようになってしまうことも。

 合格するまではなんとか頑張ろうと、志望校合格だけを目標に頑張った子ほど、勉強から解放されたときの反動は大きくなることがあります。

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中曽根陽子
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