実は、2浪めのとき合格した早稲田大学に「もう、決めよう」と思ったんです。入学準備も進めていたのですが、どうしても「やり切ってない!」という気持ちが強くて。親に頭を下げてもう一度浪人させてもらいました。

 3浪って、親はたまったものではなかったと思います。でも、許してくれたことには本当に感謝しかありません。

――そこからはどんな勉強をしたのですか?

 僕は英語が苦手でした。勉強時間が圧倒的に足りなかったので、とにかく時間を費やしました。得意なものを勉強したくなるのを我慢して、なにより英語。朝4時に起きて朝ごはんまで英語。朝ごはんのあとも英語……足腰を鍛えるように、基礎固めから始めました。そうするうちに、トータルで点数がとれるようになったんです。

 そんな一年を経て迎えた試験日は、「やり切った」という気持ちがしっかり自分の中にありました。ですから、これで落ちたらきっぱりとほかの大学に行こうと思っていたんです。

大学生時代。故郷・沖縄の首里城の前で(提供)

あきらめて「できないまま」でいるのが悔しいんです

――そこで、見事に合格されたのですね。困難な場面でも「次」をつねに自分で決めて行動されています。その心の強さや精神力はどこで身についたのでしょう。

 中学退学、編入試験や3浪生活、卒論……今まで何度も修羅場をかいくぐってきましたが、その都度、追い込まれて尻に火がついたり、退路を断つことで乗り越えてきました。自分でも、もっと早くやればいいのにと思うのですが(笑)。でも、そのままあきらめて、できないままでいるのが悔しいのです。このまま負け続けていいのか?と、ぎりぎりで気持ちに火がつくんです。

 そのかわり、やると決めたら全集中で、自分が納得いくまであきらめません。そうやって精いっぱいがんばって「やり切った」実感があれば、なんの未練もなく次に進めます。

 これは、子ども時代に読んでいた「マンガ」に影響された部分も大いにあると思います(笑)。根性、逆境に立ち向かう力、つらいときこそがんばる強さ……。マンガにどれだけ教えてもらったことか。

 自分をキャラクターに照らし合わせて「がんばる自分」にいい意味で酔う体験をすることも、とても大切だと思います。だから、親御さんには、子どもがマンガを読むことを禁止しないでいただきたいですね(笑)。

(取材・文/三宅智佳)

※後編<元・東大王、砂川信哉が振り返る学生時代「ミスター東大コンテスト」に出場した“意外な理由”とは?>に続く

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三宅智佳
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