おすすめポイント

 どの見開きにもカラー挿絵が描かれ、読書に慣れない小学1年生のひとり読みにぴったり。1ページの文字数は少ないけれど、全体のページ数はしっかりあるので、1冊読んだ自信になります。作者は『はじめてのおつかい』『こんとあき』などロングセラー絵本を描いている林明子さんなので、「この絵、知ってる。見たことある」と手にとりやすいかもしれません。

 おすすめポイントのひとつは、なほちゃんの表情。「くらい外にひとりでおしっこにいける?」とおばさんに聞かれ、ちょっとうつむきながらも「わたし、ひとりでおしっこにいける!」とはっきり答える顔。そしてキャンプに行けることになった笑顔、がんばる顔。シンプルな線で描かれたどの表情も魅力的です。

『はじめてのキャンプ』(林明子 作・絵/福音館書店 刊)

 大きい子たちが、文句を言いつつも、なほちゃんをやさしくフォローしている様子がわかるのも、絵童話ならでは。なかなか薪を集められないなほちゃんが、抱えきれないほどの大きな木を見つけるところは驚きです!

 空、星、川、火。それがあるだけで何もかもが特別になる……。赤、黄、青などシンプルな色で、暗闇とあかりのコントラストがすばらしく描かれます。お決まりのテントの中の「こわい話」も、あまりこわくないけれど、真っ暗な野外で聞いたらやっぱりこわいかも……と絶妙です。

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