心肺機能がしっかり育たないということは、免疫力にも影響します。肺が圧迫されると、必然的に呼吸は浅くなります。すると血流が悪化するので全身への酸素や栄養の供給がうまくいかなくなり、免疫機能が低下することが懸念されます。免疫力が低下することで、病気にかかりやすくなる、治りが遅くなるなどのリスクにもつながるのです。

――姿勢の悪さが病気にまでつながるとは、驚きです…!

 病気だけでなく、ケガもしやすくなる傾向があるんですよ。それには柔軟性が関係します。本来、背骨は曲がる、反る、ひねるとさまざまな方向に動きますが、猫背や反り腰だと筋肉が固まり、動きにくくなるんです。そうすると、ボールが飛んできたときや、つまずいたときなどに、身体をひねって避けたり、体勢を立て直したりすることがしにくくなるんです。近年、大きなケガをする子が増えているという報告もあります。ニッセイ基礎研究所のレポートによると、学校(学校行事を含む)における骨折は、小学生から高校生まで増加傾向にあり、全体では30年前の1.5倍、1970年と比べると2.4倍となっています。私は姿勢との関連も大いにあると考えています。姿勢が悪いことで首や腰に負担がかかり、肩こりや腰痛など、大人のような症状に悩む子どもも増えています。

――大人の現代病みたいですね。肩こりや腰痛持ちでは勉強もつらそうです。

 まさにそうなんです! 姿勢の悪さは学習にも大きく影響します。猫背でいると腹筋は縮んだ状態になるので弱くなります。一見、姿勢がよく見える反り腰タイプも、実は腹筋が使われていないので同様です。持久力が弱くなる要因にもなり、座っている状態を維持することがつらくて疲れてしまい、集中力が途切れて、授業が最後まで聞けないなど、勉強にも支障が出てくる可能性もあります。

 姿勢は習慣なので、日常のなかで気をつけていけば直せます。背筋がピン!と伸びた子と猫背の子、どちらのほうが印象がいいでしょうか? たかが見た目ですが、姿勢がよいほうが好印象ですよね。もしお子さんの姿勢が気になっているなら、今のうちから修正するよう取り組むことをおすすめします。

西村さんのお話をもとに編集部で作成

(取材・文/石村紀子)

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石村紀子
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