体調を崩しやすい冬。免疫力を高めるためにすぐ実践できる方法とは? 朝・昼・晩のシーン別に紹介します。2児の母であり、公衆衛生学を専門とする柳澤綾子医師に聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【チェックリスト】子どもの自律神経が乱れている10のサイン免疫力を高めるためにはどうしたらいいの?
免疫力を高めるためには、規則正しい生活習慣が大切です。なぜなら、それらは自律神経のバランスに大きく影響するからです。
「自律神経は、免疫力と深く関わっています」と話すのは、公衆衛生学を専門とする柳澤綾子医師。
自律神経とは、内臓の動きや呼吸、血圧など、生命維持に必要な機能をコントロールし、体内の環境を整える働きをしている神経です。交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割を果たしています。
この二つがお互いに協調しながら体が正常に保たれるよう調節しているのですが、ポイントは無意識(自律的)に働くということです。自分の意思ではコントロールできないので、食事や睡眠、運動などで自律神経が正常に働けるよう、整えてあげる必要があるのです。
「自律神経は、免疫細胞(リンパ球など)の働きを調節する働きも担っています。活動するぞ!という時間帯は、交感神経が優位になりますが、そのときリンパ球はリンパ節(バイキンと戦う最前線基地)に集中し、臨戦態勢に入ります。副交感神経が優位になると、このリンパ球は体内に放出され、パトロール態勢に入ります。
こうした動きを繰り返すことで、免疫機能は維持されているのです。忙しい現代は交感神経が優位になりがちです。睡眠の質が落ちる、消化力が落ちて腸内環境が悪化するなども、交感神経優位の兆候です。逆に、副交感神経が優位すぎてもトラブルは起きます。自律神経がバランスよく働けるよう整えることが免疫を高めるためには大切です」(柳澤医師)
自律神経のおもな働き
自律神経にはリズムがあり、活動する日中には交感神経が優位になって働き、夜になると副交感神経が優位となって体を休ませます。この切り替えがスムーズにできるようにすることが大切です。交感神経、副交感神経、それぞれの主な働きを紹介します。
交感神経
〇興奮モードになる 〇心拍数を上げる 〇血管を収縮させる 〇血圧が上昇する 〇汗が増える 〇唾液がネバネバする 〇胃腸の働きを抑える