「ギフテッド」の生きづらさは学校の問題でもある
――目の前のお子さんの「困り事」や「必要な手助け」を親が知っておくことが大切なのですね。学校ではどのような困り事が考えられますか?
ギフテッドかどうかに関わらず、ベースにASDやADHDがある子は、感情的に不安定になりやすく、かんしゃくを起こしてしまう可能性が大きいので、学校での問題行動につながる場合もあります。授業に集中できないこともみられます。
特に日本の小中学校では、集団生活が大切とされ、“みんなと同じ”であることが求められる傾向があります。ギフテッドのように際立った能力がある場合は、どうしても教室で目立ってしまって、周囲から浮いてしまいやすいんです。
ときには、勉強が簡単すぎて、本人が少し尊大に振る舞うなどすると、周りのお子さんや先生との人間関係が難しくなることも。ひどい時は、いじめの対象になってしまうこともあり得ます。
――それは、つらいですよね……。そうした問題には、どう対処すればいいのでしょう。
ギフテッドが集団になじむことが難しいのは、確かです。でも、「うまくいかないのはギフテッドの特性を持つ子がいけないのではなく、そうした“普通とは違う子”の受け皿が整っていない社会や学校の課題でもある」というふうに考えてあげてください。
もちろん今いる場所でうまく折り合いがつけられるのが一番望ましいですから、まずは、担任やスクールカウンセラーに相談し、理解してもらうことが必要です。それでもうまくいかないようなら、学校の外で居場所を探すのも一つです。
――ギフテッドの子たちが、学校以外で学べる場とは?
アメリカやイスラエル、シンガポールのような教育的な先進国では、秀でた能力を持つギフテッドを集め、エリートを育てる国家的な教育に力を入れているところもあります。しかし、日本では、ギフテッドについて専門的にサポートができる組織や機関は現状ではあまり整っておらず、才能が埋もれてしまうことが多いのも実情です。
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