――3つも? それはどうしてですか?

 実を言うと……当時の私はシンガーソングライターの斉藤和義さんにドハマりしていたんです。斉藤さんって、一人でピアノもギターもドラムも演奏されるんですよね。毎日DVDを見ているうちに「息子を斉藤和義さんみたいにしたいな」って思ってしまって (笑)。

 音楽教室をやっている友だちに、「いっぺんに3つの楽器を習うのは無理よね」って聞いたら、「全然OK! むしろ一緒に習うのがいいんだよ」と言われて、その教室に入れちゃいました。

――息子さん斉藤和義さんになれたのでしょうか?

 もちろん、なれませんでした(笑)。ピアノは早々にやめてしまい、唯一長く続いたのはドラムだけです。娘はピアノよりもスポーツが好きになってしまって、今はまったく弾いていません。

――親の願い通りにはならないんですね……。

 本当に(笑)。でも、やっぱり習わせてよかったと思っています。息子は音楽教室で、若いお兄さんたちにドラムを教えてもらえるのが楽しかったみたいでした。そこでビートルズを初めて聴かせてもらったりして、音楽を通じて少しだけ「大人の世界」に触れさせてもらったんだなって感じています。

 娘が小学生の頃、ピアノの発表会で私もいっしょに連弾させてもらいました。あれは本当にいい思い出です。日常でピアノを弾くような子にはならなかったけれど、クラシックは時々聴いているみたいです。私は「こうなってほしい」という欲がめちゃめちゃあって、今頃になって子どもたちも大変だったろうなと反省しきりなのですが (笑)、そうではなく、楽器やプロの演奏に少しでも触れさせてあげたいという気持ちで楽器を習わせたり、コンサートに連れていって音楽との思い出を残してあげるのはすごく素敵なことだと思っています。

――堀井さんご自身は、ピアノを再開されたそうですね。

 そうなんです。子育てを卒業してTBSも退職して、「何か始めたい」と思ったときに思いついたのが昔やっていたピアノでした。覚えた曲もすぐ忘れちゃうんですけど、とても楽しい。気長に趣味として続けたいなぁって思います。

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