まだ10歳の、体の反応が強いタイプのお子さんに「食べちゃダメよ、ウソはダメよ」と言うのは「自分でその反応をなんとかしなさい」と言うのと同じで、それは難しいと思います。意思を持ってやっている場合は考えを改めれば行動も変わりますが、「体の反応」に対して理屈は無力ですから。

身体感覚タイプは、ルールより「共感」が効く

 実は「やっちゃダメ」と禁止する方法が効果的なお子さんは限られています。聴覚をよく使う、言語的なものに反応が高い子はルールや手順を好むので、決まりごとに対して行動としてつなげやすいです。一方で、今回のように視覚や身体感覚をよく使うタイプの子にはルールや禁止があまり効きません。理解はできますが、体の制限につながらないことがあるので、共感したり、「ウソをつかない自分でいたい」と思えるような励まし方をしたりするほうが合うでしょう。

 ただ「禁止」と言われたら、やってしまった後に逃げ場がなくなってウソをつくか逃げるかしかなくなってしまいますよね。多くの親御さんは、つい「それはしていい、これはするな」と行動の部分だけにアプローチしがちです。

 でも、子どもは頭と心が動き始めてから行動に移すので、行動を変えるには「その前段階の頭と心の反応にアプローチする」必要があります。よくない行動のなかにある頑張りを認めて、「あと少し気をつけたらできるよ」と、うまくいく未来の話を必ず入れる。「次はこうしたらどうかな」というお子さんが選べる行動を一緒に考えて、そこには親の笑顔や安心感があることをセットで伝えてあげたら、状況は変わってくると思います。

(構成/布施奈央子)

小川大介さん

※小川さんのYouTubeチャンネル「小川大介の『見守る子育て研究所®』」や、AERA with KidsのYouTubeチャンネルで、小川さんの話を動画で配信しています。

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