ありがとうはなかったけれど……手帳に残った成長の記録
結局お父さんの睡眠障害は入試当日まで続いたものの、無事に合格を手にしたHちゃん。これまで二人三脚で支えてくれたお父さんへの感謝の言葉は……?
「『ありがとう』はなかったですが(笑)、中学受験を通して娘の確かな成長を感じました。最初のころは、なかなか自分で計画を立てられなかった娘ですが、志望校が決まったあとは自分でやることを決めて、実行できるようになっていました。受験勉強を始め、毎日計画を記した400日分の手帳は、親子のいい思い出。病気と付き合いながら本当にここまでよく頑張った、と感じます」
Hちゃんの起立性調節障害の症状は、薬が体に合ったこともあり、最初の診断から時間が経つほどに徐々に緩和され、現在は薬を飲むことなく元気に中学校に通えるようになったそうです。
学校や塾に行けないなか、父と娘で模索した中学受験。手帳に刻まれた400日の記録と、二人三脚で歩んだ日々は、合格以上に価値のある親子の大切な時間になったはずです。
(取材・文/稲垣飛カ里)
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