「どれだけ勉強してきたかを一番わかっているから、わが子の努力が報われてほしい」と願うのは中学受験をサポートした親なら誰しもが思うこと。その思いが強ければ強いほど、希望の学校に入れなかった時に落胆したり、事実を否定的にとらえたりしてしまいがちです。でも、「落ちたら、努力が実らずかわいそう」なのでしょうか? 自らも子どもの中学受験を経験したライターが、そんな大人の認識に一石を投じたエピソードを紹介します。
【マンガ】このストーリーをマンガで読む(全35ページ)「こんなに頑張ってるんだから、必ず合格させてあげたい」
小学4年生から地元の中学受験用の塾に通っていたTちゃん(女子)。学年が上がるごとに塾に通う日数も増えていき、6年生になると塾で過ごす時間がかなり長くなっていきました。休日には自習室で勉強するからと、お昼と夜用に、お弁当を二つ持参することもあったとか。そんなハードスケジュールも、友達と息抜きをしながら頑張っている様子に、Tちゃんのお母さんは、「こんなに頑張ってるんだから、必ず合格させてあげたい」と思うようになっていった、と言います。
受験も佳境にさしかかり、模試の判定テストや過去問の出来などから大人たちがピリピリしだしても、Tちゃんや、Tちゃんと同じ塾に通う子どもたちからは受験日が迫っている危機感はあまり感じられませんでした。授業の終わりに迎えに行くと、男の子は相変わらず元気に飛び出してきて、女の子はにぎやかに連れ立っておしゃべりをして、そんな小学生らしい顔を見ることができる送迎時間は、受験の不安から解放される癒やしの時間だったとTちゃんのお母さんは振り返ります。
いよいよ、2月の本番
そしていよいよ本番の2月。Tちゃんはチャレンジ校と合格圏内の学校、そしてもう1校は確実に合格をもらえるだろうという三つの学校を受験しました。確実に合格できそうな学校を選んだのは、「頑張ってきたことを肯定するためにも成功体験をさせるべき」という親心からでした。
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