起立性調節障害の症状は、薬を飲むことで快方に向かいつつありましたが、それでも日によっては頭痛や疲労感が強く出ることも。

「疲れが出るとよくしゃっくりをし、明らかに顔色も悪くなっていました。そんな“サイン”が出ているときは、とにかく早く寝かせるように心がけました。毎日遅くとも22時には就寝です。ただ、実は成績がグッと上がった時に欲が出て無理をさせてしまい、体調が悪化したことがあり……。そのときはすごく後悔しました」

今度はお父さんが体調不良に

 勉強はなんとか少しずつ進んでいたものの、娘の体調を考慮しつつ準備期間が短いなかで挑む中学受験。自身の仕事も続けながらの“家庭教師”に、お父さん自身が大変なプレッシャーを感じてしまい、受験まであと100日ほどというころで調子を崩してしまいました。

「娘が小6の秋ごろ、僕のほうが精神的に参ってしまって……。夜中に頻繁(ひんぱん)に目が覚めるなど、うまく眠れなくなってしまったんです」

 Hちゃんには明るく接していたものの、精神的にかなり追い詰められていたお父さん。そんなときの心の支えはHちゃんのお母さんでした。Hちゃんが興味を持ちそうな学校をリストアップするなど、学校の情報収集はお母さんが中心となってサポート。また、週に1度「夫婦会議の日」を設け、その日はHちゃんの体調面や勉強の進行具合、成績のことなど、いつも夜中まで話し合いました。

 入試当日に朝起きられるか、長時間の試験に耐えられるかも心配でした。それには、模試を活用。まずは2回自宅受験をし、本番と同じスケジュールで起床できるか、体力が持つかをチェック。そのあと会場での模試にも挑戦し、徐々に体を慣らしていきました。空腹時に体調が悪くなることも多かったため、ブドウ糖のタブレットや塩分補給タブレットを持参して休憩時間に食べるようにするなど工夫をしていたそうです。

 幾度の困難を乗り越えながら、ついに迎えた受験当日の2月。第1志望はHちゃんの希望で「制服がない自由な校風の学校」。入試会場への付き添いはお母さんがし、お父さんは仕事に行きましたが、娘の受験が気になってソワソワ。その日は仕事が手につかなかったといいます。合格発表はその日の夜。家族3人で寄り添ってWEBサイトを見て、「合格」の文字にHちゃんは大喜び。お父さんは嬉しいのと同時に、やっと肩の荷が降りた気持ちだったそうです。

次のページへ中学受験を通して得たもの
1 2 3 4