でもHSCは決して「弱い子ども」ではありません。私はよく「センサーがいい」という表現を用いています。

教室で、気の休まる間がない「繊細さん」

――HSCの特徴には、どんなことがあげられますか。

 基本的に、人混みが得意ではありません。ですから、たくさんの人がいる学校はただでさえ緊張が高まります。でも、HSCの子どもは個別支援学級の対象ではありません。なぜなら、知的能力に問題はなく、ADHDのような多動性もないからです。

 教室では、たとえばほかの子どもが先生に怒られている場面に遭遇したとき、その怒った声や教室内の張りつめた空気に対して、まるで自分が怒られているようにダメージを感じてしまうことがあります。避難訓練のサイレンなどの大きな音、チクチクした素材の衣類……苦手と感じるものが多いです。

 友達との時間は楽しいものですが、人の言葉や表情を敏感に察知するので、気疲れしてしまう場面も多いでしょう。ときには考えを巡らせ過ぎて「いじめられた」と思ってしまうこともあります。

 また、算数の小テストに「×」がついたときも、動揺して自信を失ってしまうことがありま す。HSCは、失敗を必要以上に怖がってしまったり、自分の出来・不出来がとても気になったりするのです。そのため、「ちゃんとやりたい」気持ちがとても強く、自分にプレッシャーをかけてしまうことが多いのがHSCの子どもです。

 ですから、学校はつねにプレッシャーと戦う場所となりがちなのです。

子どもが不快に感じる刺激を、親子で把握しよう

――HSCの子どもが少しでもラクに過ごせるために、まわりができることはありますか。

 慎重で思慮深いHSCの子どもへの向き合い方として、「家庭や学校が安心できる空間であること」「刺激が過多でないかチェックすること」「『SOS』を出せるような環境を整えること」を意識しましょう。

 HSCの子どもが安心できるには、きちんと説明して、理解させてあげることです。たとえば学校なら「学校では、いつも知らないことを勉強する。だからはじめのうちはできなくてあたり前なんだよ」「試行錯誤はとてもいいことだし、たとえ成功しなくても大丈夫!」と、学校や勉強のメカニズムを話してあげるといいですね。

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