他人の気持ちに敏感、騒がしいところが苦手、学校がつらそう……。こうした敏感さを持つ子どもたちをHSC(=ハイリー・センシティブ・チャイルド)といい、5人に1人があてはまると言われています。人の気持ちを思いやる優しさを持つ一方で、傷つきやすい一面も。周囲はどう接すればいいのでしょう? 「AERA with Kids 秋号」(朝日新聞出版)ではHSCについて詳しい心療内科医の明橋大二先生にお話をうかがいました。
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HSCの概念を最初に打ち出したのは、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士。感覚や人の気持ちに敏感であるために、疲れやすく傷つきやすい子どもたちをHSCと定義しました。アーロン博士の著書『ひといちばい敏感な子』を、心療内科医の明橋大二先生が翻訳したことで、ここ数年、日本でもHSCの概念が少しずつ広まってきています。
「HSCは国籍・性別問わず5人に1人の割合でいます。一説ではこうした敏感さは種の存続のために必要で、動物にも見られるともいわれているのです。生まれ持った気質であり、病気でも障害でもなく、ましてや"治す"必要もありません」と明橋先生。
実はご自身も、子どものころからこうした敏感さを持っていたという明橋先生は、HSCという言葉に出合う前から、不登校で悩む子の多くに共通した繊細さがあることに気づいていました。
「ほかの子が怒られていると自分が苦しくなったり、音や光で体調が悪くなったりと、学校や幼稚園などの集団生活が苦手な子は多いんです。周囲の理解が得られず、自信をなくして、学校がつらくなってしまうんですね」
人の感情や気分、音や光、場の雰囲気など、どこに敏感さが強く反応するかはHSCであっても、それぞれ異なります。また、引っ込み思案の子が多いHSCですが、好奇心が旺盛な子も30%ほどいるなど、個性には幅があります。いずれにしても親が不安になる必要
はない、と明橋先生。
「HSCの多くは、優しく思いやりのある、思慮深い子たちです。感受性が強く敏感なことは、本来何も悪いことではありません。幼いうちはよく泣いたり、疲れてかんしゃくを起こしたりするかもしれません。でも、それは子どもが自分の気持ちを家庭で安心して出せている証拠なのです」
HSCかどうかを判断するには、いくつかセルフチェックする方法がありますが、最近の脳研究からHSCの根っこには必ず四つの性質(DOES)が見られることがわかっています。わが子が以下の「DOES」すべての傾向に当てはまるとしたら、HSCの可能性が高いでしょう。
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