「お前なら大丈夫だ!」 その言葉に自信と笑顔を取り戻す

 その言葉に、張り詰めていた緊張の糸が切れたように泣き出した娘。「お前なら大丈夫だ! 先生の言うことを信じてみろ」と肩をたたく先生の姿に、親である私も泣けてきて、その涙と共に不安も押し流されていくのを感じました。泣き終わったあとの娘の顔には恥ずかしそうな、でも確かに自信を取り戻したような笑みが浮かんでいて「頑張ってくる!」と試験会場へ入って行きました。そのとき、1月から娘の笑った顔を見ていなかったことに気づいたと言います。

 結果、1回目はダメだった第1志望校に合格! 先生の「お前なら大丈夫だ!」という強い言葉が娘の不安を払拭し、合格に導いてくれたとKちゃんのお母さんは振り返ります。自信を手に入れた現在は制服を誇らしげに着こなして、吹奏楽部の部長となり大勢の観客を前に堂々と演奏をしているとか。

 Kちゃんは、自分を信じることが難しい状況でも、信頼をおける先生の言葉を信じることで心が安定し、本来の力を発揮することができたのかもしれません。合否にこだわってしまいがちですが、どの子どもたちも中学受験を通して、何かを感じ、学び、得るものがあったはずです。その経験を踏まえて前に進むことができたなら、結果はどうあれ中学受験は成功したと言えるのではないでしょうか。

(取材・文/鶴島よしみ)

MEGUMIが語る「思春期」息子の子育て 中学受験を直前で断念も「結果としてやめてよかった」
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鶴島よしみ
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