親子共々、不安を拭えず立て直すこともできないまま、本番2月1日を迎えることに。Kちゃんが「あの制服を必ず着たい!」と譲らなかった第1志望校。偏差値的には少々チャレンジ校ではあったものの、ずっと熱望してきた学校だから、もし1回目の試験がダメでも、複数回受験できるようにスケジュールを組んでいました。

 しかし、嫌な予感は的中するもの……。2月1日午前と午後の2校、2日午前と午後の2校と立て続けに不合格。不合格の文字を見るたびに、深い沼に沈んでいき、もがけばもがくだけ水面から遠ざかっていくような感覚にとらわれ、このまま沈んでしまうのだろうかという恐怖にとらわれて眠れなかったと言います。

負け戦に向かう気持ちでくぐった校門の先に、救世主が現れる

「5連敗がわかったとき、娘は“どうせ私なんて……”と言い捨てて自室に入ってしまいました。それを見てどこでもいいから、娘に合格を与えて自信を回復させてあげたかった」(Kちゃんのお母さん)

 そして、初日よりももっと偏差値を下げた学校への出願を覚悟して、お母さんは塾に相談をしました。担任からは「第1志望校の最終試験日はかなりハードルが上がり、狭き門になるだろうから、合格を確実にもらえる学校をひとつ増やしてあと2回は頑張りましょう」というアドバイスをもらい、3日目に挑みました。

 あんなにキラキラして見えた憧れの学校が、受験日の朝は、とても遠い存在に感じました。駅から学校に向かう受験生たちがすべて優等生に見えて、「もう二度と来ることはないかもしれない……」という考えすら浮かんでいました。

 すると、校門の奥に、入塾当初、国語をほめてくれたという先生の姿が見えたのです。娘を見て、その先生はかけよるやいなや、「どうした! お前が国語ができないなんておかしいと思って活を入れに来たんだ。100点とれるくらいの実力があると先生は知ってるぞ。大丈夫だ、落ち着いて解いてこい!」と叱咤激励しに来てくれたのです。

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