まついちちゃんは「鼻がひくひくしていて変だよ」って直接誰かに言われたのかな。それとも周りの反応でそう思い当たったのかな。どちらにしろ、周りと比べて、ってことがきっと原因だよね。
「みにくいアヒルの子」って童話は知っているかな? アヒルの子どもたちと一緒に生まれたのに一羽だけ羽の色が違って仲間外れにされちゃうお話。成鳥になったら実は白鳥の子だったっていう結末なんだけど。こういう話ってコンプレックスによくあるのかなあ、って思ったんだ。周りと違って変って思っていたことが、実はすごいチャームポイントだった、ってことが。
よしおの友だちに、アイドルグループのマネージャーをやっている人がいてね。そのグループには、笑い方に特徴があるメンバーがいるんだって。その子、小学生のときはその笑い方がコンプレックスだったみたいなんだけど、今はグループのなかでも特徴的な笑い方をする子としてキャラクターが確立されて、むしろその笑い方が愛されポイントになっているみたいなんだ。
声優さんなんかでもそういう話を聞いたことがあるよ。10代のころは「声が変」って言われていたけど、その特徴的な声がアニメにぴったりはまったとかね。よしおも、「お前の芸は学生ノリだ!」ってたくさん言われていたけど、「ウェ~イ」っていうノリが芸風になった。前の事務所のマネージャーにもやめたほうがいい、って言われていたけど、今の事務所の先輩に「逆にキャラにしちゃえよ」って言われて定着していったんだ。
つまり、何が言いたいかっていうと、コンプレックスはチャームポイントっていう見方もできるよ、ってこと。しかもそれは年月を経て熟成されるものなのかな、って。今は傷つくことが多いかもしれないけど、もしかしたらまついちちゃんの笑い方を「すごくチャーミング!」って受け取る人も絶対にいると思うよ。それに、思いっきり笑うとスッキリするじゃん! よしおのネタで思いっきり笑っているまついちちゃんの顔が見れたらうれしいな。あ、それはよしおのネタ次第か(笑)。新ネタ作り頑張るね!
今、まついちちゃんはたくさん傷ついて苦しいと思うけど、決して無駄な時間じゃないからね。むしろ、コンプレックスとたくさん向き合っていて素晴らしいよ! よしおが提案したこと、ぜひ試してみてね。
……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?
(構成/濱田ももこ)
小島 よしお