■「その手には乗らないぞ」というバリア?
矢萩:それはそうです。いきなり勉強から会話がスタートしたら、子どもにとってはウザいに決まってます。もう見え透いてるというか。子ども的にも「その手には乗らないぞ」みたいなバリアができてしまう。やっぱり会話をするんだったら普段からちゃんと「対話」しなきゃダメですよね。親子で対話を日常的にしていれば、「今日は何勉強したの?」「どこまでやったの?」みたいな一文一答的なスタイルにはならないですよね。突然そんな質問されたら子どもは「塾終わってるのにまた質問かよ」「覚えていなかったら怒られるやつじゃん」みたいに思ってしまいます。
安浪:私も授業をやる時は「今週、塾はどうだった?またあの先生、面白いこと言ってた?」みたいに周辺の話から入っていきます。いきなり勉強の本題に入ることはほぼないですね。まず何か雑談して、子どもの舌が滑らかになってきてから本題に入ります。「この問題について、先生はどうやって解説していた?」といった感じですね。特に意識してそうしているわけではないですが、やはりアイスブレイク的なものがあるのとないのとでは、子どもとの距離がかなり変わります。
矢萩:そういうのが苦手なお父さんお母さんもいるのはわかります。でも、親がそうだと子どもも苦手だったりする。どうしても苦手なら第三者を介在させるとうまくいくと思います。僕がいつも授業でやっているのは正解のない問題について子どもと話をすることです。今あるニュースについて、僕はこう思うけど、あなたはどう思う?といった対話です。その際、せっかく正解のない問いなのですから、何を言っても否定しない、意見や考え方を強要しないことが大切です。
(構成/教育エディター・江口祐子)
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