――「共感型」の会話も息子に教える必要がありますね。

 女性の脳は「共感型」の会話を好むものの、意外にも母親となると“多忙な子育て戦士”となっているので、子どもに対し「問題解決型」の会話になっていることが多いんです。「学校どうだった?早く宿題しちゃいなさい!」みたいに問い詰めて追い込む。

 そうじゃなくて、「大丈夫? 宿題忘れちゃっているみたいだけど、どうしたの?」と優しく聞くだけで、子どもの受け取り方は変わります。「走る姿、かっこいいね!」「がんばったね」「ありがとう、助かる~」と相手の変化を褒めたり、労ったりするのもいいですね。男の子は13歳になるとテストステロンの影響で一気に目的志向になる傾向があり、会話も「問題解決型」にシフトしてしまうので、それまでにいかに母と「共感型」の会話をしたかで、のちの対話力が決まります。

――なるほど! ほかに、男子の育児でおすすめポイントはありますか?

 理系脳を育てるには、部屋を片付けすぎないこと。男の子は、ブロックや積み木を作って壊すことを繰り返せる“基地”を与え、そこで想像と創造を繰り返すことで空間認知能力が育ちます。マンションのモデルルームのように、いつもきれいで床もまっさらだと、創造すらできません。

 息子は一人っ子だったけど、2段ベッドを与えて下は自由にレゴを作ったり壊したりを繰り返せる場所にしました。ホコリがたまって気にはなるのですが、多少は目をつむって……。ときどきパンツなんかも落ちてたんですが、それは片付けて(笑)。レゴブロックでの宇宙ステーションづくりは10年くらい続きました。

(聞き手/AERA dot.編集部・平井啓子)

※記事後編<<『トリセツ』黒川伊保子が語る子どもの早期教育 「文字も数字も息子にはいっさい教えませんでした」>>へ続く

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平井啓子
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