「大泉を落ちたら地元の公立中学校へ行こうと思っており、あくまでも練習のつもりでした」(安西さん)

 安西さん自身は足を運ばなかったが、母親が宝仙理数インターの学校説明会に出席。「良い学校」と、好印象だった。

「親からは、地元の公立でも宝仙理数インターでも、進学先は自分で決めていいよと言われました。勉強をがんばっていたので、せっかくだからと、最終的には宝仙理数インターを選びました」

 実際に入ってみると、自分に合っていたという。小学校から管楽器をやっており、吹奏楽部に入部。中学時代に、高校生の先輩と一緒に練習できたことが励みになった。

「学校生活は、本当に楽しかったですね。先生方が熱心で、職員室によく質問に行きました。良い友達にも巡り合えて、今でも時々会っています」(安西さん)

■中学入試の間口広げる 

 新タイプ入試が、中学入試の間口を広げたのは確かだ。北さんは言う。

「社会の変化とともに、教育を取り巻く状況も変わっています。大学入学の共通試験は、センター試験から思考力や読解力を重視する共通テストに変わり、国立大学協会も国立大学の推薦入試(学校推薦型選抜)、AO入試(総合型選抜)による入学者を定員の30%まで増やすと表明している。中学入試もこういった動きに連動し、より多様な評価軸で受験生の力を測ろうという方向に進んでいます」

 肝心の試験対策は難しい面もある。とくに適性検査型問題は記述が多いのが特徴で、さまざまな視点から出題されるため、引き出しを多く持っている受験生が強いといわれている。小さいころから博物館などに出掛けたり、図鑑や子ども新聞などを読んだりするとよいとされる。もし公立中高一貫校を併願する場合でも、私立受験塾に通っているならば、あえて公立中高一貫校対策の専門塾にダブルで通わせる必要はないとの見方もある。新タイプ入試を導入している学校は、説明会のときにプレ入試を行っているところも多い。受験を考えているならば力試しに参加してみるのも、対策の一手となるだろう。

(ライター・柿崎明子)

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