矢萩:そうです。難関校に合格できた場合も入学後に苦労してしまうケースがあります。特に難関校は英数に力を入れているので、カリキュラムについていけなくなる生徒が一定数いるんですが、難関校ほどそういう生徒たちのケアをやってくれず、自己責任的な感じはありますね。

安浪:わかります。あと小学生の受験科目って基本4教科じゃないですか。ところが中学に入ると、英語を含め科目がグッと増えるんですよね。以前、中学校に入ってからカリキュラムについていけなくなった、というご相談がきて、いろんな学校の時間割を調べたことがあるんですよ。これがけっこう学校によって違う。最難関校や難関校、都立中高一貫校は、中1から算数が代数と幾何の2科目、国語も現代文と古文の2科目、理科は物理、化学、生物の3科目、社会が地理と歴史の2科目と、細かく分かれている学校が多くて、器用に対応できない子は大変だろうな、と。一方、中堅校あたりだと中1の時はそんなに無理な時間割じゃないところが多い。数学は代数と幾何に分かれていても、社会は地理のみ、とか。学校選びの時に、時間割を見ておくのも大事だな、って思いました。

矢萩:それ、大事な視点ですね。ただ、必ずしも少ないほうがいいってわけでもなくて、科目が分かれていたほうが対策しやすいという生徒もいます。でも種類が多いだけで、テンパっちゃう子が多いのは事実です。

安浪:ある程度自主的に勉強してきた子はどこに入っても伸びていくんだと思いますが、多くの子はやっぱり少し余裕がある学校の方が伸びやすいのかな、という気はしています。教え子たちをみても、そのような学校に入った子は堅実に伸びているので。

■補欠で入学した子はトップクラスになるケースが多い

矢萩:入学時の偏差値はもちろんありますが、マインドの問題も大きいと思うんです。例えば、補欠で入学しても、学年でトップクラスにいく生徒は結構多いんです。それって「俺は補欠だからちゃんとやらないとマズイ」という気持ちが強いから、最初からエンジン吹かして頑張っているからだと思うんです。逆に「俺はこの学校では全然イケてるほう」と思ってしまったり、中学受験で十分頑張ったんだからしばらくのんびりしていてもいいだろう、といった感じで遊んでしまったりしていると、いつのまにか下位のほうになってしまってそのまま浮上できない、みたいなケースもあります。

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