■入学したはいいが、対応できる先生がいない

安浪:でも、勉強をガリガリやらせたくないから子どもの個性を見てくれる新タイプ入試にチャレンジしよう、と思っていたのに、学力も見ますってなってくると、かえってハードルが上がりませんか?

矢萩:確かにそうなんですが、「学力も見るよ」なので、「学力だけを見ます」よりは、学力面でのハードルはだいぶ低いはずです。最低限のことはできますよね、ということなので。その最低限のレベルは、その学校でどれだけ対応できるマンパワーがあるかによるでしょうね。先生たちの対応力や、システム、カリキュラムを含め、学校側がある程度実績を積んでわかってきたこともあるでしょうし。それは発達障害の子をどの程度受け入れるかどうか、という話にもつながってくるかと思います。

安浪:この連載でも、発達に特性があるからこそ中学入試をしたい、というご相談も何回かありましたけれど、ご家庭でそのような情報を知るにはどうしたらいいんでしょうね……。

矢萩:学校側は大々的に「こういう子は受け入れません」と発表していないことがほとんどなので、口コミというか、同じような状況で受験をした先輩家庭から情報を引っ張ってくるしか今のところないでしょうね。あとは学校説明会で聞いてもいいかと思います。全体説明では言わなくても、個別相談で話してくれる学校も増えています。

安浪:入学したのはいいけれど、対応できる先生がいない、となったらその学校を選んだ意味がなくなってしまいますね。

矢萩:やはり小学生の能力って計り知れないんですよ。高校生だったら、こういうことを言っているならこれぐらいの学力はあるだろう、など大体の予想は立てられるんですが、小学生はそれが難しい。学校側も新タイプ入試の問題の作り方はまだ試行錯誤しているところが多いと思いますね。

安浪:今、ちょうど中学入試が終わった時期なので、受験したご家庭はやっと一息ついているところだと思いますが、やはり大事なのは、入学してからの生活ですしね。

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