神奈川を見てみよう。受験者動向について後藤さんは「都内志向が強まっており、意外と神奈川のほうが合格をとりやすかったようだ」と、分析する。
そのようななかで、注目は湘南白百合学園(藤沢市)。志願者を536人から822人と大きく伸ばした。
「もともと教育内容がしっかりしており、入試改革も成功している。それをSNSなどでまめに発信し、学校を可視化していることが人気につながりました」(北さん)
横浜創英(横浜市)は工藤勇一校長が赴任して以来、サイエンスコースを開設するなど改革が奏功し、917人から1156人に伸びた。
千葉、埼玉は全体的に好調。高橋さんは「東京に出ずに、県内で完結する受験生も増えたようだ。やはり県内各校の進学実績が上がってきたのが大きい」と、読む。
千葉は新設の流通経済大学付属柏(柏市)が、784人の志願者を集めた。つくばエクスプレスの沿線住民が増えるなかで子どもの数が増加し、志願者増につながったようだ。さらに昭和学院(市川市)が1000人から1274人に増加した。
埼玉では、栄東(さいたま市)の勢いが止まらない。志願者が1万1017人から1万3792人に増加し、今年で10年連続して1万人を超えた。「栄東は入試問題の質が高く大勢の合格者を出すことから力試しで受験する人も多かったのですが、いまはもうお試しの学校ではなくなってきています。魅力ある学校で、進学希望での受験生も増えています」(後藤さん)。姉妹校の埼玉栄(さいたま市)も好調だ。
■付属校は志願者数減の傾向
一方で大学付属校は一時期の勢いが落ちつき、学校によって増減がわかれた。早慶の付属校では唯一、新校舎を建築中の早稲田(東京都新宿区)が増加。早慶のほかの系列校は減少に転じた。偏差値が上がり敬遠された模様だ。
MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)は立教系列と一部が増加したものの、ほとんどが減少に転じた。
「理系志向が強まっているなかで、MARCHはいずれも文系のイメージが強い。成績上位者が理系に強い私大の付属校や国立に流れたのでは」(安田さん)
昨年人気だった日東駒専(日本大学、東洋大学、駒沢大学、専修大学)も、学校によってまだら模様に。ここ数年、勢いのあった日本大学豊山(東京都文京区)は、2678人から2373人に減少した。
「志願者は減りましたが、以前と比べてレベルは上がり受験層も変化しています」(後藤さん)
24年は埼玉県所沢市に開智所沢中等教育学校が開校する。
「中学受験生が少ないエリアなので、掘り起こしにつながるのではないか」(北さん)
また香蘭女学校(東京都品川区)が2科入試を廃止し4科入試に絞るなど、すでに動きが始まっている。志望校のHPなどをマメにチェックし、最新の情報を入手して臨もう。
(柿崎明子)