女子校で目立ったのは、法政大学との提携を拡充した三輪田学園(千代田区)。志願者数を1180人から1685人と、大きく伸ばした。法政大学に30人の推薦枠を設けるとともに、法政大学の全学共通科目の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(MDAP)」を、ウェブで受講できるようになったことも支持された要因か。

 ここ数年、目覚ましい勢いを見せる山脇学園(港区)は2990人から3074人に、田園調布学園(世田谷区)も1147人から1417人に伸びた。

「女子のトップ校は、進学志向が理工系にうつっていますが、それが中堅校にも及んできました。今回志願者を増やした山脇学園はデータサイエンスを中心にSTEAM教育を充実させています。田園調布学園も探究学習のプログラムが充実しており、理系に進む生徒も多い」(安田さん)

■女子校はコロナ禍でのきめ細かいケアが高評価

 昨年に続き、女子の伝統校も人気だ。

「コロナ禍で学校見学ができないから伝統校なら安心、というのが昨年の理由でしたが、今年は保護者や受験生が、伝統校の良さを改めて見なおしたと感じます」(声の教育社常務取締役・後藤和浩さん)

 十文字(豊島区)は849人から1090人、香蘭女学校(品川区)は1040人から1181人に増加、さらに京華女子(文京区)は451人から738人、中村(江東区)は539人から706人、玉川聖学院(世田谷区)は563人から710人と、中堅校も増加した。

 首都圏模試センター取締役教育研究所長の北一成さんは、「女子校はコロナ禍にあって、授業だけでなくメンタル面でもきめ細かくケアしてくれた。それが評価されたのも理由のひとつ」と分析している。

 森上教育研究所アソシエイトの高橋真実さんは、女子校の広報戦略をあげる。

「コロナ禍もあって、少人数の学校見学会を数多く実施しましたが、それが保護者に『説明会や個別相談よりも話しやすい』と、評判が良かった。また女子校の特徴は、SNSをフルに活用して発信をしていること。たとえば山脇学園では生徒がインスタの素材を提供したり、清泉女学院(神奈川県鎌倉市)ではライン登録した受験生に在校生が応援メッセージを送ったりしています。PR動画を生徒が作っている学校もありますが、とてもセンスが良い。こういう生徒による取り組みは、先生と生徒の仲の良さも感じさせます」

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